山形大学工学部 情報・エレクトロニクス学科 電気・電子通信コース 
パルスパワー,プラズマ応用
バイオエレクトリクス研究室(南谷研究室)
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研究内容

 南谷研究室では電気エネルギー(パルスパワー)・プラズマを利用した,全く新しいがん治療方法,有用な酵素の抽出活性化,細菌・ウイルスの殺菌方法,環境有害物の高効率処理方法を研究しています。

キーワードは「医療・バイオエレクトリクス」・「環境」

パルスパワー」・「プラズマ」です。


◎パルスパワーとは?
 数千万分の1秒の短時間に世界の消費電力にも匹敵する巨大な電気エネルギーをターゲットに投入することを可能にする技術で,今までにない新しい電気エネルギー応用技術の開発を可能にする技術です。この技術により以下の今までにない全く新しい技術の研究を行っています。

○パルス電磁波によるがん治療技術研究
 現在,日本人の死因第1位はがんである。これは昭和55年以降続いていて,2015年統計では死亡数全体の28.7%となっています。がんの治療には外科治療,化学治療,放射線治療などが行われているがいずれも人体に対する負担が大きく,脱毛,食欲不振,嘔吐.疲労感などの副作用を伴うため問題となってます。
 パルスパワーは既に既存のがん治療装置でも不可欠な技術です。例えば放射線治療装置では電子の加速電界を作るためにパルス形成線路が使われています。本研究室ではこのパルスパワーを用いた全く新しい副作用のないがん治療法として高周波のパルス電界によるがん治療法を研究しています。当研究室ではがんに高周波の高電界を印加し治療するための高出力パルス電磁波放射システムの開発と,がん治療に最適なパルス電界の条件を探るため,高出力パルス電磁波発生システムの開発と,がん細胞へのパルス電界印加実験を行っています。
 右図は,図中央奥のリング状アンテナから放射したパルス電磁波を,その周囲のメッシュで出来た収束板により,がん細胞(図中央の紫の液体)の位置に収束させて照射している様子です。

○パルス電界による生鮮食品の殺菌研究
 現在主に普及している殺菌方法として,最も確実かつ簡便で安価な方法に加熱殺菌があります。しかし熱を加えることによって品質の劣化が考えられる場合は,薬品などによる化学殺菌が行われます。ところがこれもまた薬品による品質の変化や残留生成物の危険があり,品質を損ねない程度の殺菌では殺菌効果が限られてしまう場合も多いです。その他に,紫外線殺菌やオゾン殺菌などの方法もありますがこれらは殺菌効率に問題があります。これらの問題を解決する手段の一つとしてパルス高電界による殺菌があります。
 パルス電界を用いることで菌の細胞に様々な影響を与えることができ,菌を殺すこともできます。この技術を食品分野に応用し,加熱殺菌が不可能な生鮮食品の殺菌を行い,O157等による食中毒をなくすシステムの研究を行っています。右図は菌数測定のための操作を行っている様子です。
○パルス電界による酵素活性化技術
 胃腸薬のような医薬品,機能性食品に酵素は使われていますが,その酵素は酵母のような菌から取り出されています。そこでパルス電界で酵素を効率的に菌から抽出および菌内の酵素の働きを強めるパルス電界を印加する回路システムおよび技術の研究を行っています。
○パルスプラズマによる殺菌,有機物分解研究
 パルスパワーを用いると、従来の技術で処理できなかった有害な気体、液体を無害な物質に分解でき,気中,水中のバクテリアやウイルスの殺菌も可能な反応性が極めて高いプラズマを形成することができます。環境保全の研究ではこのプラズマを用い,医療廃液や工場排水中のバクテリア・ウイルス,洗剤や染料等の有害有機物を殺菌・分解する装置の研究を行っています。
 この方法はエネルギー効率が高く,薬品を使わないため環境にやさしいという利点がある。右図は,水処理リアクタの全体図である。


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